MORI YU GALLERY

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五十嵐英之 / Hideyuki Igarashi : Girl Friend 7914

作品名:
Girl Friend 7914
アーティスト:
五十嵐英之 / Hideyuki Igarashi
サイズ:
91 * 116.7cm
制作年:
2012
素材:
acrylic on canvas
     
     
この商品は会員限定です。

ARTIST PROFILE

Hideyuki Igarashi

五十嵐英之 / Hideyuki Igarashi

略歴 :
1964 京都市生まれ
名古屋芸術大学絵画科洋画専攻卒業
佛教大学文学部史学科修了
京都教育大学発達障害学科(旧精神薄弱教育)専攻
京都精華大学大学院研究科造形専攻修了
京都市立芸術大学 大学院 美術研究科博士(後期)課程単位取得退学
倉敷芸術科学大学 芸術学部 准教授 (美術工芸学科 現代表現コース)

INTRODUCTION

Yuichi Mori

MORI YU GALLERY 森 裕一

五十嵐を語る上でまず私が触れたいことは、発達障害、いわゆる自閉症の生徒と彼との出会いについてである。当時倉地さんは若干12歳、五十嵐自身も28歳。倉地さんは当初五十嵐に目も合わせてくれなかったという。しかしある時、部屋の片隅に置いてあったダンボール箱を見てそれを紙に写す倉地さんの行為をみた五十嵐は、自分が絵を書いて興味を持ってくれれば、それを倉地さんが写し、またそれを写していくというcommunicationができるのではないかと思い立ったという。まさに五十嵐が考えたように倉地さんは夢中で描き出した。それから始まったcommunicationは20年近く続けられている。

人と人の間に位置するドローイング。その往復書簡のエネルギーには凄まじいものがある。これとはまた違う大きな経験が五十嵐にはある、中西夏之氏との対話だ。2005年頃から始められた互いが互いを分析し合う実験といってもいいこの試みは一つの展覧会となり(「中西夏之x五十嵐英之 作品超拡大化計画」加計美術館、岡山2007)、中西夏之氏との共著『遠くの画布 近くの絵 拡大と拡散 像の拡大と拡散の試み』におさめられている。私からみるとこの対話経験は五十嵐に多大な影響を与えているとおもわれる。もしかすると元来五十嵐が持っていた常人では不可能な集中力をさらに強固なものとしたのかもしれない。倉地さんとのcommunication、中西夏之氏とのcommunication、これは経験したことのあるものにしか理解できないものであろう。他者との間から、その鬩ぎ合いの隙間から出来あがる作品性は、五十嵐独自の絵画にもあらわれている。もちろん過去に遡れば、先達が暗い闇の中にさし込んだ光から、像をみつけた瞬間がある。目で見た風景などが、場をうつす像としてたちあらわれたのだ。

それ以降、人は光をすくいとるように像をみることに魅了され、その美しい像を永遠に見続けることに憧れた。William Henry Fox Talbotはそんなひとりかもしれない。彼は、写真術の実験に取組み、光で絵を描くという表現感覚をもってフォトジェニックドローイングという写真作品 を残している。五十嵐もまた、近年、描くことについて絵画や写真などをとおして作品を制作してきた。「日々同じものみていても、それを見る自分の視覚は変化しつづけている。 その瞬間を描くことは決してできないが、"その瞬間の体験を絵画化する思考"こそが大事なのだ。」五十嵐が描く風景は、単なる視覚的にとらえられたものを超えたところで成立している。それはやはり、風景や人体などの視覚的瞬間の把持ではなく、それを捉える主体の思考、比較対象との関係において成立してくるものとして五十嵐の作品が成立しているが故に、我々鑑賞者は彼の絵画のなかに入って行けるような感覚を得られるのではないだろうか。他者、他との間において生成してくる絵画は、たんに写真のように上手な絵画とは全く違うものであるといえよう。このことは今回取り上げた柴田主馬とも連関するであろう。

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